かぜとインフルエンザ
かぜの予防できている?
かぜとインフルエンザは日々のちょっとした心掛けで予防ができます。ここでチェックして家族みんなで毎日を元気に過ごしましょう!
かぜとインフルエンザをよく理解。かぜは日々の心掛けで予防ができます。毎日を元気に過ごせる予防法を確認。インフルエンザの症状はかぜより重く、幼児、高齢者がかかると危険な例があります。症状は、発熱38度以上が3~4日続き、鼻汁、咽頭痛、全身倦怠、頭痛、筋肉痛、関節痛、せき、喀痰など。
免疫力が弱まっているときに、かぜを引きやすく、治るのに時間がかかります。かぜで弱っている鼻咽頭をたばこでさらに刺激することは、悪化の原因になります。また、糖尿病、肥満者、要介護高齢者も免疫力が落ちているので、かぜに弱いといえます。入浴後の薄着や深酒の後なども、ウイルスが侵入する絶好のチャンスになります。
- かぜとは?
かぜ症候群は、鼻、のど、気管支、肺などの呼吸器の粘膜に起こる炎症性の病気の総称です。この中には、普通感冒(いわゆる「かぜ」)、インフルエンザ、喉頭(こうとう)炎なども含まれます。 - 症状について
かぜで一番多い症状は、のどの痛み、鼻汁、せきです。熱は、あっても37度台が多いのですが、まれに39度に及ぶこともあります。また、全身の倦怠感や頭痛を訴えることもあります。案外多いのが吐き気や下痢で、程度は軽く、1~2回くらいです。 - ウイルスが原因
かぜはウイルスが原因で起こる感染症です。私たちのからだには、口腔や鼻咽頭にもたくさんの細菌が住みついていますが、ウイルスはほとんどいません。かぜの原因となるウイルスは、まず鼻やのどに侵入し、粘膜から細胞の中に入って増殖します。増えたウイルスは細胞を次々に破壊していきます。こうして感染が広がり、炎症が起こって、かぜの症状が現れてきます。 - 感染経路
侵入経路で最も多いのは、呼吸器系への飛沫感染によって、かぜをうつされるというものです。職場や学校などの集団生活の場では感染のチャンスが多く、また、ウイルスが汚染した手から感染することも多いので、手洗いとうがいは大事な予防対策になります。 - くすりについて
かぜは、大体1週間でよくなります。かぜに効く薬はありません。薬を飲んでも飲まなくても、経過に変わりはないのです。抗生物質は効果がなく、肺炎の予防にもなりません。 欧米では、かぜで医者にかかることは滅多になく、あたたかなオレンジジュースでも飲んで休むということで終わってしまいます。薬はドラッグストアでアスピリンを買って飲むくらいです。クスリの正しい使い方をチェック。 - 治療について
日本では医者にかかると、いろいろな薬が調合されます。患者さんも「抗生物質が欲しい」「注射を打ってくれ」「会議があるから点滴をしてくれ」などと注文を出しますが、これらはあまり効果がありません。かぜ薬は、すべて発熱、せきなどに出される対症療法(病気の不快な症状を和らげる治療法)に過ぎません。しかし、発熱やせきは、ウイルスの攻撃に対する生体の重要な反応であって、これをむやみに抑えることは、必ずしも当を得ないのです。
かぜには休養が一番です。睡眠は十分にとらなければなりません。水分の補給も大事です。室内の温度を適正にして、湿度を保ちましょう。また、食事は控えめにして、野菜、果物、卵、牛乳など、栄養価の高いものを摂るようにつとめましょう。素直にかぜを受け止める人は、治りも早いといえます。
インフルエンザは、流行性感冒です。「流行る」ということに、特徴があります。症状もかぜより重く、急激に起こります。発熱は38度以上となり、3~4日続きます。鼻汁、咽頭痛がありますが、むしろ全身倦怠、頭痛、筋肉痛、関節痛、せき、喀痰が目立ちます。ときには涙、眼痛など眼の症状も出ます。幼児、高齢者がインフルエンザにかかると以下のような危険な例があります。
幼児では、発症後間もなく痙攣、混迷を起こし、脳炎で死亡する例も報告されています。完全に治るには、数週間かかります。
高齢者で注意すべきことは、合併症としての肺炎です。インフルエンザ肺炎や二次的な細菌感染による肺炎があります。とくに寝たきりの高齢者では食物の嚥下(えんげ-飲みくだす)機能や痰の喀出(かくしゅつ-吐き出す)機能が低下しているため、誤嚥(ごえん-誤って飲み込み気管に入る)性肺炎が多くなり、これが死因につながります。70歳以上の高齢者、とくに老人ホーム在住者では、ワクチン注射をしてあらかじめインフルエンザ予防をしておくことが必須です。また、医療にたずさわる人もワクチン注射を義務づけなければなりません。
最近では、インフルエンザに抗ウイルス製剤が使用できるようになりました。病の初期に使うと効果があります。早めに手を打って、被害を最小限にしたいものです。
くすりはできるだけ副作用がなく、効果があるということが望ましいわけですが、くすりが引き起こす死亡事故や身体に障害が残るなどのいたましい例がたくさんあります。かぜぐすりを注射するのは、世界でも日本だけです。医師も患者も、くすりの副作用にもう少し注意を払ってほしいと思います。
(健康事業総合財団[東京顕微鏡院] 学術顧問、東京都老人医療センター名誉院長 小澤利男)