美肌食事典 Healthy Skin Food – 肌質をよくする食べ物 肌は血液から栄養をもらって生きています。「肌は内臓の鏡」とも言われます。いい食事は「薬」にはならないけれど、必ずあなたの肌を元気にします。今のあなたに必要な美肌食は、さていったい何? 気になるのは? 肌のガサ付き 毛穴 シワ ニキビ イボ テカリ顔 肌のガサが気になる、即ち肌の栄養不足! 肌は内臓の鏡。カサついたあなたの肌は恐らく栄養不足です。ダイエットを意識して脂肪やたんぱく質を含む動物性の食べ物を敬遠したりしてませんか? たんぱく質はプリッと弾力ある肌には不可欠。なぜなら皮膚組織の水分以外の70%はたんぱく質が作るコラーゲンで構成されているからです。というわけでたんぱく質を摂るならなら赤身肉や、鶏のムネ肉やモモ肉、白身の魚、ヨーグルトなどの低脂肪乳製品がが低カロリーでおすすめです。 肌の栄養不足にコラーゲン 骨付き肉や魚を丸ごと煮こんで冷ましたときにプルプルしたゼリー状のものができます。このプルプルがコラーゲンです。丸ごといただけばきっとつやつや肌になります。コラーゲンは動物の皮や筋、骨に多く含まれています。鶏の手羽、牛スジ、穴子、フカヒレ、煮魚やとんこつスープ、沖縄名物のラフテー……。あなたの好みはどれ? 肌の栄養不足に青魚 サバ、いわし、サンマなどのいわゆる青い魚や、マグロ、鮭を食べて、肌に栄養を運ぶ血液の流れを良くしてやります。これらの魚に豊富に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)が血液をサラサラにして流れやすくするのです。どんなにたんぱく質やコラーゲンを食べても、それが肌まで到達しなければ意味がありません。 毛細血管を強化に、ビタミンE 青魚で血液をサラサラにしたら、次は血液の最終的な通り道、毛細血管を強化。アーモンド、生たらこ、うなぎなどは含まれるビタミンEが血行をよくするので、細胞の隅々まで酸素や栄養成分を行き渡らせ、新しい細胞を作り出したり、修復にも働きます。乾燥肌は化粧水やクリームなどで水分を補うよりも、内面からケアしてみてください。 肌の潤いに、ビタミンA 皮膚自体の潤いや健康を保つには「A」、ビタミンAです。動物性ならレバー・うなぎ・魚などのレチノール、植物性なら緑黄色野菜に含まれるβ-カロチンなどでビタミンAを摂ることができます。ビタミンAやEは脂溶性のビタミンなので、少しでも油と一緒にとると、吸収率が高まります。でも、妊婦さんはサプリメントでレチノールのとりすぎに気をつけて。 毛穴が気になるなら、テスト 毛穴が気になり始めると、顔中の毛穴に目が行って「毛穴だらけだ!」と思えてきます。目の下あたりの皮膚をこめかみ方向に指で軽~く押し上げてみてください。鼻の横の毛穴が目立たなくなるなら、毛穴問題はたるみ問題にということ。たるむのは老化です。弾力不足と肌の酸化が主な原因。では、何を食べればいい? 肌の弾力にはやはり、コラーゲン&エラスチン 「カサつき」のページで触れたコラーゲンですが、実は表皮の下にある真皮をコラーゲンと共に支えているのがエラスチンです。肌、内臓壁、血管など、カラダの弾力が必要なところに必ずエラスチンあり。エラスチンはコラーゲンと絡み合っていて、コラーゲンが豊富ならエラスチンも活発です。だから骨付き、皮付きの煮こみ料理やゼラチンでコラーゲンをちゃんと摂ることが毛穴解消の鍵というわけです。 ポレフェノールでエラスチンを手助け 「弾力王」エラスチンは人間の一生の間、ずーっと伸縮を続けます。丈夫です。でも紫外線と活性酸素に弱いのが玉にキズ。紫外線は化粧品や日傘などで防ぐとして、活性酸素はポリフェノールでやっつけるとしましょう。注目の発端となった赤ワインを始め、春菊、レンコン、さつま芋、ブロッコリー、リンゴ、ブルーベリーなどに入っています。緑茶のカテキン、大豆のイソフラボンなんかもポリフェノールの一種です。 ビタミンC、Eとβ-カロチンを食べましょう 体内に活性酸素が増えると肌がサビて新陳代謝も不活発になります。皮膚が厚くなり乾燥してハリが失われると毛穴が目立って来て……。だから抗酸化の3本柱、ビタミンC、Eとβ-カロチンを食べなければ!Cはキウイ、苺、ニガウリ、もちろんレモンにも入っています。大根の葉も捨てないで。そしてさっと調理してぱっと食べる。でないとCは簡単に壊れてしまいます。Eとβ-カロチンについては、もう少し詳しく説明しましょう。 もっと、Eとβ-カロチン 肌の酸化(=老化=たるみやシワ)を防ぐEとβ-カロチンの共通点は、どちらも「脂溶性」という点。ビタミンCやBは水溶性なので生で食べても吸収されますが、Eやβ-カロチン、またビタミンAやDは脂溶性。油とコンビでないと吸収ません。これを忘れないように!Eは青魚やナッツなどに、β-カロチンは緑黄食野菜に多く含まれます。Eはそれ自体脂分豊富な食べ物が多いのでいいとして、カロチンは油で炒めたりドレッシングをかけたりした方がいい、ということです。 あなたのシワはどんなシワ? シワは偏った食事で起こります。そのままほおって置くと必ず(!)深いシワを生み出します。要注意です。食事の油を減らしていたり、たんぱく質を摂っていないときや紫外線にあたって細胞が老化したときも起こります。細かいちりめんジワも肌がたるんで刻まれた深いシワも、大切なのは老化=肌の酸化を予防すること。さっそく抗酸化の食べ物も紹介します 。 酸化=老化 シワやたるみは肌の酸化=老化です。呼吸や食事で体内に取りこまれた酸素の2%ほどが不安定な状態でカラダに残り、安定しようとしてむやみに動き回る「フリーラジカル」になるのが不調=老化の原因。フリーラジカルは肌やその他の細胞を壊してまわり、壊れた細胞が過酸化物質となって新陳代謝を停滞させてしまうのです。肌は角質がいつまでも剥がれずに肥厚化してごわつくし、乾燥するのでシワもできやすくなります。古くて硬い革のようにみずみずしさはゼロ。だから酸化を止めたい! では、何を食べればいい? 酸化を止めるには牡蠣 鉄分豊富な牡蠣ですが、亜鉛も豊富。亜鉛は肌細胞の生まれ変わりを促進し、たんぱく質を合成したりと大活躍する、新陳代謝に不可欠な栄養です。ビタミンCとともにコラーゲンを作り、いつまでもシワのないふっくらとした肌でいるために、牡蠣、ココア、チーズ、レバー、ハマグリあたりを意識して食べてください。シジミの味噌汁なんかも、いいようです。 ゼリーでコラーゲン ゼリーのプルプル感が肌にあったらいいのに、と思いませんか? ゼリーのあの食感の源ゼラチンは、まさにコラーゲン(=たんぱく質の一種)のかたまりです。できてしまったシワ、消せるわけではないけれどゼリーでコラーゲンを補えば、わずかではあるけど栄養を補っていることになります! 大豆のすごい美肌力 大豆に含まれるイソフラボンは肌に効く3通りのすごいパワーを秘めています。①肌に弾力を与えるコラーゲンの生成を促すパワー②肌を白くするパワー③過酸化脂質ができるのを抑制して肌を酸化から守るパワーです。すごい美肌力! 豆腐、納豆、おから、湯葉、豆乳。好きなものでイソフラボンを摂り入れてください。 大人のニキビ、原因は皮質だけではない? 大人のニキビは心身の状態とデリケートに結びついています。心や体調が乱れると肌の新陳代謝が不規則になって→厚くなった角質が毛穴をふさぐ→閉じ込められた皮脂がニキビを招くアクネ菌のエサになる、という仕組み。ストレスを抱えている場合も、男性ホルモンの分泌が活発になり皮脂量が多くなるから、ますますニキビの天国に。「ドライ肌なのにニキビ」は、乾燥した角質がめくれてそこから雑菌が入りこんで炎症を起こすらしいのです。そんなことを知りながら、ニキビ対策の食生活を考えてみましょう。 チョコレートはやっぱりダメ。。。 アンチ皮脂のためにガマンすべきはカタカナの食べ物。ハンバーガー、ピザ、ラーメン、チョコレート、ポテトチップス、ドーナツ……。どうです、みごとに脂肪分の多いものばかりでしょ? 食べた脂肪分がそのまま皮脂に変わるわけではないけれど、脂肪をエネルギーとして使うときに必要なビタミンと美肌に必要なビタミンは同じ「ビタミンB2」。高脂肪食を続けていると、脂肪分解の方にビタミンB2を取られてしまい肌の調子は悪くなるのです。ニキビ対策の美肌食も、ファーストフードやインスタント食品を控えないと残念ながら意味ナシです。 腸内をキレイにするのは乳酸菌とオリゴ糖 腸が美容や健康に不可欠な器官である理由は、腸こそが栄養を吸収する現場だから。腸を元気に保てば肌もきれいに保てます。じゃあ、元気な腸の条件は?①善玉菌と悪玉菌がバランスよく存在すること②お通じを促す健康な動き(ぜん動運動)をすること③腸の壁が規則正しく新陳代謝していることでしょうか。 善玉菌の代表乳酸菌をヨーグルトで補給しつつ、善玉菌のごはん、オリゴ糖で善玉菌を生かしましょう。オリゴ糖はバナナやアボカドに多く含まれています。元気な腸の中では美肌に必要なビタミンBも作られるんですよ。 食物繊維で腸内の掃除 食物繊維は水分を含んで大きくなり腸にやってきます。これが通を形づくる材料なんですね。便に食物繊維が不足すると腸内の有害物質をからめとって排泄できないため、にきびを招くことがあります。1日20g~25g。実は結構大変だから一生懸命摂りましょう。1回の食事で効率よく食物繊維を摂れるのは納豆(これで約3.3g)、おから、ひじき、切干大根の煮物、干し柿1個、枝豆。他に、精製の少ない穀物や芋類、海藻類、豆類も。デザートなら寒天ものがおすすめです。そうそう、たっぷりの水分もお忘れなく! 女性ホルモンを増す手助け 男性ホルモンが皮脂の分泌を増やしてしまうのなら、女性ホルモンを相対的に増やして皮脂を抑えようではないか、ということで、女性ホルモンを活発にする食べ物を探しました。ザクロ、それから豆腐、納豆など大豆製品にも含まれているのイソフラボンは、女性ホルモンと同じような働きをすると言われています。 ビールのホップ&昆布、わかめ、ひじき なんとビールのホップにも女性ホルモン様物質が含まれています。ビール100ccで充分。ビールのホップ以外にヨード(ヨウ素)も女性ホルモン様物質を含みます。昆布、わかめ、ひじきなどがヨードを多く含みます。ローカロリーだし、どんどん食べたいですね。 肌リズムを手助け:ビタミンE&ビタミンB2 肌はほぼ28日周期で新しく生まれ変わっています。そのリズムが乱れると古い角質が毛穴をふさいでしまいます。だから肌のターンオーバー(新陳代謝)を規則正しく保たなければ!それにはまず、ビタミンE。肌の細胞分裂が活発になるビタミンです。ナッツ類、青い魚など。ちょっと脂分があるこれらの食べ物はその脂が酸化していては台無し。新鮮なものを選んでください。ビタミンA、C、ポリフェノールと一緒に摂ると酸化を防止できるんですよ。ビタミンB2も肌の生まれ変わりに不可欠なビタミンです。28日リズムできれいな肌を保ちましょう。皮脂の分泌も抑制しますよ。さば、さんま、いわしなどで効率よく取り入れることができます。ビタミンEとB2を一挙両得できるのが納豆。脂肪の合成、吸収を抑えるサポニンも含むので、美容に気を使う人はぜひ納豆を。 江戸時代からイボにはハトムギ ウィルス性・老人性の2タイプがあるイボですが、ハトムギは江戸時代の昔からお茶やお粥にして食べられてきたウィルス性のイボの妙薬。漢方でヨクイニンと呼ばれビタミンB群、たんぱく質、カリウム、鉄、食物繊維などをバランスよく含み栄養価が高いので、肌の水分と血液を補い毒素を排出させて美肌を保つのです。サメ肌、シミ、ニキビなどにもテキメン。ホントです。ただし妊娠中は避けた方がよいよう。 おまけ:食べないイチジク 「食べない美肌法」としてイチジク。イチジクのヘタを剥いたときに出る白いエキスを1日数回イボに塗ると、イボがころりっ、と取れてしまうそうです。白いエキスはたんぱく質分解酵素を含んでいて、これにかぶれた肌がその部分を治そうとして結果イボが取れるという仕組みのようです。でもかえって肌荒れを起こす人もいるらしいので、ご注意を。 皮質を減らすにはうなぎとレバー 結構カロリーの高そうなうなぎとレバーなんて意外かもしれませんが、これらにはビタミンAが含まれています。もともとはニキビの治療薬として使われていたビタミンAの一種レチノールが実はシワとり効果もあったとわかりブームになったのは記憶に新しいところ。ニキビの治療薬になるくらいなので、過剰な皮脂をコントロールするのです。β-カロチンは実は体内に入ると必要に応じてビタミンAに変わるので、β-カロチン豊富な緑黄食野菜もテカリの悩みにはグッド。 ビタミンB6で皮質を抑える ビタミンB6も皮脂を抑制するビタミンとして知られています。小麦胚芽入りパンとか豆腐、納豆、おからなどの大豆製品、豚肉を意識して摂れば、皮脂テカは軽減されるはずです。 高脂肪の食事は肌のためにガマン 仕方がありません。ニキビの人と同じように、せっかくビタミンB6を食べても、それが他の脂肪分の分解に横取りされてしまったら皮脂の抑制は後回しになってしまいます。ハンバーガー、フライドポテト、ピザ、ラーメン、チョコレート、ポテトチップス、ドーナツはガマンすること。でないといつまでもギラギラ顔です。 監修:管理栄養士 平野美由紀