Q10

あまり不安に思わず、次の妊娠を待ちましょう

まず、子宮外妊娠について説明しましょうね。子宮外妊娠とは、受精卵が卵管や腹膜など、子宮の内膜以外の場所に着床し、発育してしまうことを言います。本来、精子と卵子は卵管膨大部という場所で受精し、分割しながら約1週間かけて子宮に戻り、内膜に着床します。ところが何らかの原因で卵管が癒着していたり、子宮内避妊具（いわゆるリング）が入っていると、受精卵が子宮に戻ることができず、卵管にとどまってしまいます。これが子宮外妊娠のなかでも最も多い「卵管妊娠」です。卵管が癒着を起こす原因ですが、卵管炎や子宮内膜症、細菌感染のほか、クラミジアや淋病といった性感染症があります。最近は、クラミジアが原因というケースが非常に増えていますね。

さて、子宮に戻ることができず、卵管にとどまってしまった受精卵は、着床できずに自然に流産する場合もありますが、着床したとしても胎児が育ちきれず、卵管破裂を起こす場合もあります。あなたの場合は、流産したために腹腔鏡を使って処置するだけですんだのであり、不幸中の幸いとも言えます。もし、卵管や卵巣に着床して胎児が育ってしまっていたら、開腹手術をしてその部分を切除しなくてはいけないからです。

子宮外妊娠の再発の可能性についてですが、残念ながら数字でお答えできるようなデータはありません。ただし、先ほど説明した、卵管癒着の原因と考えられる感染症や子宮内膜症を完治できない、あるいは慢性化している場合は、次に妊娠したときも子宮外妊娠となる可能性があるとは言えます。しかし、もちろん、そうではない人たちもたくさんいますよ。あなたの場合は幸運なことに卵管も卵巣も温存されているわけですから、あまり不安に思わず、病気があるかないかを確認したうえで、次の妊娠を待ちましょう。